椎間板ヘルニア@マガジン
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犬や猫の椎間板ヘルニアについて

眠る犬

頚椎を持つ動物は構造上人間と同じように椎間板ヘルニアになります。特に症例が多いのは犬や猫の椎間板ヘルニアで、毎年多くの動物病院において手術例が報告されています。

動物の場合はなかなか発見できずに症状が進行してしまうケースが多いそうなので、飼い主さんが責任をもってお勉強しておきましょう。全ての動物の対処法は掲載できませんので、代表例として「犬」の場合を下記に記しますのでご参考ください。

こんな症状があったら椎間板ヘルニアかも?

  • 突然背中を触れられるのを嫌がる。
  • 階段を嫌う、小さな段差を避けるようになった。
  • 歩き方がおかしい、ツルツルした場所でゆっくり歩く。
  • 自力で立ち上がることができない。

椎間板ヘルニアになりやすい犬種

特に胴が長く肢の短い犬種(ダックスフント、W.コーギー、ビーグルなど)がなりやすい傾向にあります。また、体重の重い大型犬のゴールデン・レトリバーなどにも多くみられます。

ダックス系の犬は若い時から椎間板ヘルニアになりやすいと言われており、原因としては、先天的に軟骨の形成異常になりやすいことや、若いころから椎間板が固いためもろくなりがちなためです。椎間板ヘルニアになりやすい犬種は、骨の構造上脊椎への負荷が大きく、さらに、室内でも元気よく跳んだり、駆けたり、ほえたりしがちで、脊椎に無理な力がかかるため、椎間板を傷めやすくなります。

痛がる犬や猫には優しく接してあげましょう

抱き上げる際に前肢を掴んで持ち上げたり、降ろす際に途中で手を離して跳び降りさせるなどの行為は危険です。抱き上げる際にはお腹の下を手で支え、地面と水平に抱き上げ抱えることで腰への負担を軽減できます。降ろすときも同様です。

老犬・老猫の場合は、加齢による骨の変性も起こってくるため特に注意が必要です。肥満になると体重により背骨に負担がかかるため椎間板ヘルニアになりやすくなります。体重を考慮した食事の管理も重要視しましょう。

こんなところに気をつけて

犬をハグする女性

室内では、急な階段の頻繁な上り下りやソファーなど高い場所から跳び下りた時、遊びの最中にフローリングの床で滑ってしまった時などに、脊椎に負荷がかかりやすいので注意してください。興奮してむやみに走り回らないようにしつけるなどの防止策も大切です。

また、過剰な運動も椎間板ヘルニアの原因の一つです。背骨に強い刺激が加わるような過激な運動や、無理に首を引っ張るような運動は頸椎(けいつい)に負担をかけることになるので避けるようにしましょう。予防対策として、屋外ではフリスビーやアジリティなどの激しい運動や、足を踏みはずしやすい砂利道の散歩はなるべく控えましょう。

動物病院での検査方法

病院での診断は、神経機能を調べ体の異常を起こしている箇所から、背骨脊椎のどの箇所がヘルニアをおこしているかおおよその見当をつけ、レントゲン検査によって診断をします。X線の普通の撮影でヘルニアが確認できないときは、脊髄に造影剤を入れて検査をします。

軽度の場合は、ステロイド剤や抗炎症薬などを与えると症状が和らぐそうです。重度の場合は手術をして問題の部分(神経を圧迫している部分の椎間板)を取り除く必要があります。その場合、たとえ手術が成功しても、普通に運動ができるようになるまでにはかなりの時間を必要です。(個体差があるようですが平均して半年くらいだそうです)

ペットのための保存療法

人間の場合はストレッチをすることで大幅な改善が望めますが、ペットの場合はそれが難しいので安静療法が効果的なようです。動物はケガや病気をするとジッとして自然治癒に頼る習性があります。人間としてできることは、安静時に安らかにいられるよう環境を整えてあげることだと思います。

適度な気温と湿度で静かに落ち着いていられる場所を提供し、優しく見守ってあげましょう。時間はかかりますがそれが一番の保存療法だと思います。どうしてもお散歩に行きたがるとか、多少の運動はさせたいという場合は犬用コルセットがありますのでこれを装着して体への負担を軽減させてあげると良いかも知れません。

眠る猫